前回の記事「ヨーロッパの建築様式をかじってみませんか(前半)」はこちら
記事の前半では、ヨーロッパの建築様式についてご紹介しました。
後半では、学んだ建築様式を導入している東京の建築をご紹介します。
今回ご紹介するのは
・目白聖公会:ロマネスク様式(バシリカ様式)
・神田カトリック教会:ロマネスク様式・ルネッサンス様式
・国立科学博物館 日本館:ネオ・ルネサンス様式
・迎賓館 赤坂離宮:ネオ・バロック様式
です。
前半のまとめを再掲しますので、建築様式を思い出すのにお役立てください。
古典建築
(1)ギリシャ建築:美しい神殿を追求した建築
(2)ローマ建築:大衆施設を発展させた建築
中世建築
(3)ロマネスク建築:重厚感が特徴の建築
(4)ゴシック建築:軽さ・高さを追求した建築
近世建築
(5)ルネサンス建築:ローマ建築の復興を目指した建築
(6)バロック建築:豪華で煌びやかな建築
近代建築
(7)新古典主義建築:ギリシャ建築の復興を目指した建築
(8)ネオ・○○建築:それぞれの建築様式の復興を目指した建築
なお、それぞれの建物の建築様式については、素人が調べながら執筆しています。
詳しい方から見れば間違っているところもあるかもしれませんが、ご容赦ください。
〈目白聖公会:ロマネスク様式〉
最初にご紹介するのは、目白にある目白聖公会です。
公式サイトによると、こちらの建物は1929年にバシリカ様式で建設された、聖シプリアン聖堂です。
このバシリカ様式がなにかというと、ロマネスク様式が発展する前の建築様式です。
前半の記事でお伝えしたとおり、ローマ建築とロマネスク建築が入れ替わる間に、ローマ帝国がキリスト教を公認し、教会が建ち始めました。
このとき、教会のモデルとして使われたのが、ローマの各都市にあった長方形の集会施設(バシリカ)です。
その後ロマネスク建築が広がっていきますが、ロマネスク建築の教会はバシリカがベースになっているとも言われています。
たしかに、ロマネスク建築の特徴と同じように、全体的に丸みがあって、どっしりとした見た目です。
〈場所情報〉
目白聖公会
所在地:東京都新宿区下落合3-19-4
公式サイト:https://mejiroseikokai.com/
聖堂にはイングランドの修道院から受け継がれた美しいステンドグラスもあるようです。
〈カトリック神田教会:ロマネスク様式・ルネッサンス様式〉
こちらは水道橋駅や神保町駅の近くにある、カトリック神田教会の聖堂です。
1928年に建設されたそうで、なんともうすぐ100年経つんですね。
公式サイトによると、ロマネスク建築とルネサンス建築を融合させた造りだそうです。
2001年には文化庁の有形文化財として登録されています。
重厚感のある見た目や、窓の形と屋根付近にアーチの形が見られるところは、目白聖公会の聖堂とも共通しています。
〈場所情報〉
カトリック神田教会
所在地:千代田区西神田1-1-12
公式サイト:https://catholickandachurch.org/
歴史ある聖堂、パイプオルガン、ステンドグラスなどの説明も公式サイトで読むことができます。
〈国立博物館 日本館:ネオ・ルネサンス様式〉
次にご紹介するのは、上野公園にある国立科学博物館の、日本館です。
国の重要文化財に指定されており、外も中も、シックでかっこいい建物です。
1931年の関東大震災を受けて、今の建物に建替えられました。
整然とした美しさで、ルネサンス建築の特徴である円柱やアーチ、この写真には写っていませんがドームもあります。
こちらは公式サイト(https://www.kahaku.go.jp)からお借りした画像ですが、上から
見ると飛行機の形になっています。当時の館長さんのアイデアだそうです。
荘厳な印象の外観ですが、遊び心も感じますね。
〈観光情報〉
国立科学博物館は、建物を見ているだけでももちろん楽しいのですが、もちろん中の展示も醍醐味です。
図鑑のように並んでいるはく製を上からも下からも見られたり、ドーム型のシアターでマントルの動きや深海の様子を見られたり(感覚的にはディズニーのソアリンに似ています)、小学生でも大人でも楽しめる展示がいっぱい用意されています。
建物の内装も素敵なので、休日のお出かけにとってもおすすめです!
また、上野公園には国立科学博物館以外にも美術館や動物園など見どころがいっぱいあります。
お隣の国立西洋美術館は近代建築の巨匠ル・コルビュジエが建設しており、世界遺産にも登録されています。建築に興味のある方はそちらもぜひご覧になってください。
〈場所情報〉
国立科学博物館
所在地:東京都台東区上野公園 7-20
アクセス:JR「上野駅」公園口から徒歩5分
開館時間:9:00-17:00(最終入館16:00)
休館日:毎週月曜(月曜が祝日の場合のみ火曜)・年末年始(12/28-1/1)
入館料(常設展示):一般・大学生/630円 高校生以下/無料
公式サイト:https://www.kahaku.go.jp
〈迎賓館 赤坂離宮:ネオ・バロック様式〉
最後にご紹介するのは、赤坂にある迎賓館です。
私は最初に行ったとき、「東京にこんなところがあったのか」と衝撃を受けました。
日本らしさも随所に強くあるのに、まるで海外旅行に来たような、そんな豪華な建物です。
内閣府の公式サイトによると、日本で一つだけのネオ・バロック様式の宮殿建築として、1909年に建設されたようです。
もとは皇太子殿下のお住まいでしたが、のちに迎賓施設へと改修され、数多くの他国の賓客を迎えてきました。
堂々とした佇まいで迫力もありつつ、装飾は豪華かつ繊細で、いくらでも見ていられそうです。
〈観光情報〉
建物の外見ももちろんとても素敵なのですが、なんといっても建物の中がすごいです。撮影禁止なので、写真でお伝えすることができないのが本当に残念です。
こだわり抜かれた内装に、贅をつくした華麗な家具や調度品が並んでいて、ため息がでるような美しさでした。
随所に日本らしいモチーフが散りばめられており、まさに日本でしか見られないバロック建築です。
素敵な建築に感動したい方はもちろん、ヨーロッパのお城風のホテルやカフェが好きな方にも刺さるのではないかと思います。
そして、なんと迎賓館の前の庭ではアフタヌーンティーを頂くことができます。
そんなに素敵なティータイムがあっていいんでしょうか…。
要予約で、1日20食限定なので、迎賓館に行く計画が決まったら、早めの予約がおすすめです。
〈場所情報〉
迎賓館 赤坂離宮
所在地:
アクセス:
JR中央・総武線「四ツ谷駅」赤坂口から徒歩7分
東京メトロ丸ノ内線「四ツ谷駅」1番出口から徒歩7分
東京メトロ南北線「四ツ谷駅」2番出口から徒歩7分
公開時間:庭園/10:00-17:00(最終受付16:30)本館/10:00-17:00(最終受付16:00)
休館日:水曜
(接遇等の休館日:https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/visit/visit_calendar/)
参観料金:
庭園/一般:300円 大学生以下:無料
本館/一般:1500円 大学生:1000円 中高生:500円 小学生以下:無料
和風別館の参観もできます。詳しくは公式サイトをご覧ください。
公式サイト:https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/
以上、後半の記事では東京で見られるヨーロッパの建築様式をご紹介しました。
建築様式の知識がなくても建物のかっこよさに感動することはできますが、背景を知ることで、より細かいところまで見られるようになった気がします。
個人的には、来月のヨーロッパ旅行が一層楽しみになりました。
〈勉強させて頂いたサイト〉
・アンティーク アナスタシア「バシリカ(バジリカ)」
http://antiquesanastasia.com/religion/references/churches/in_general/basilicas/general_info.html(閲覧:2023/1/12)
バシリカ様式について勉強しました。
・livedoor NEWS「建物に萌える『国立科学博物館』」
https://news.livedoor.com/article/detail/7303919/(閲覧:2023/1/12)
国立科学博物館の、建物の歴史や魅力について勉強しました。
writer C.Yamada