TOPICS

トピックス

不動産・建築

2023.04.19

ヨーロッパの建築様式をかじってみませんか(前半)

前回の記事「建築様式について調べてみました」はこちら

 

世間では冬休みが終わり、いつも通りの日々が始まりましたね。

早寝早起きのリズムを、体が思い出しつつある頃でしょうか。

そんな中ですが、大学4年生の私はあと2週間で春休みを迎えようとしています。

大学生活最後の長い春休みです。

私はこの春休みを使って、2週間以上かけてヨーロッパを周遊して来る予定です。

 

この記事では、旅行に向けて、ヨーロッパの建築様式の基礎について調べ、学んだことをまとめます。

記事の後半では、学んだ建築様式を導入している日本の建物をご紹介します。

建築様式も世界史も、まったくなにも知らない状態なので、同じ状況の方、ぜひ一緒に勉強しましょう!

建築様式を学んで、日本の建物もヨーロッパの建物も、より理解して感動することができると思います。

 

ヨーロッパの建築様式一覧をひたすら検索したところ、初心者がまず抑えるべきは

古典建築

(1)ギリシャ建築

(2)ローマ建築

中世建築

(3)ロマネスク建築

(4)ゴシック建築

近世建築

(5)ルネサンス建築

(6)バロック建築

近代建築

(7)新古典主義建築

(8)ネオ・○○建築

の8つのようです。

 

(1)ギリシャ建築:美しい神殿を追求した建築

 

 

ギリシャ建築は、その名の通り古代ギリシャで生まれた、美しい神殿を追求する建築です。

高い技術力によって建てられた、美しい造りが特徴です。

この「美しさ」というのは数学的な美しさを指しています。

並んだ柱の上に梁が渡っているシンプルな構造ですが、柱の高さや幅など計算しつくされています。

前に読んだ漫画で、数学者が「この階段は黄金比でできている。美しい…」と感動するシーンがあったのですが、そんなイメージでしょうか。

ギリシャのパルテノン神殿が有名です。

 

(2)ローマ建築:大衆施設を発展させた建築

 

 

ギリシャ建築が神殿の建築だったのに比べ、公共施設が多く建てられた建築様式です。

ギリシャ建築を手本にしているので、計算された数学的な美しさ、という観点は同じです。

建築様式を調べていると、神殿や教会などのための建築様式が多かったので、「大衆のための」という観点は特徴的な気がしました。

イタリアのローマにあるコロッセオが有名です。

 

このギリシャ建築とローマ建築が古典建築に分類され、その後の様々な建築様式のベースや手本になっているようです。

ここで一度、この後の建築様式の変遷を理解しやすくするためにローマ帝国の歴史を挟みます。

 

〈キリスト教公認・ローマ帝国の滅亡〉

迫害していたこともあるキリスト教を国教として公認しました。このことで、各地に教会が建つようになります。

当時隆盛を極めていたローマ帝国ですが、ゲルマン民族の侵攻によって大きな転機をむかえます。

(このゲルマン民族の侵攻の背景には、寒冷化で南下してきたフン族に元の領地を奪われたことや、人口が増え耕作地が不足していたことがあるようです。)

広すぎる領土を管理し、まもることができるよう、ローマ帝国は東西に分裂します。

その後、度重なるゲルマン民族の侵攻により、西ローマ帝国は滅亡し、各地域にゲルマン民族が独自の国を作っていきます。

 

(3)ロマネスク建築:重厚感が特徴の建築

 

 

ロマネスク建築の主人公はゲルマン民族です。

西ローマ帝国滅亡後、ギリシャ建築やローマ建築のような建物を建てようとしますが、建築技術が追い付かず、独自の建築方法を模索しました。

その結果500-600年ほどの長い時間をかけて10世紀に確立した教会建築がロマネスク建築です。

「ロマネスク」は「ローマ風の」という意味です。

建築技術が発達していないので、建物が安定するよう分厚い壁が用いられており、全体的に丸みを帯びた重厚感のある見た目が特徴です。強度の観点から窓も小さく、装飾的ではありません。

イタリアのドゥオモ広場にあるピサの大聖堂が有名です。

 

(4)ゴシック建築:軽さ・高さを追求した建築

 

 

ロマネスク建築が厚みと重みのある壁を使っており、高さのあるものが建てられなかったことから、ゲルマン民族が新しい建築方法の研究を進めます。

その結果12世紀に生まれたのがゴシック建築です。

建築技術の進化で、薄い壁で建てることが可能になり、大きな窓も造れるようになります。

高さと細さが強調された造りが特徴的で、高い柱や大きく背の高いステンドグラスが見られます。

ドイツのケルンにあるケルン大聖堂が有名です。

 

(5)ルネサンス建築:ローマ建築の復興を目指した建築

 

 

ローマ建築の技術が再評価され、ローマ建築を復興しようという流れで15世紀に生まれた建築様式です。

「ルネサンス」はフランス語で「復興」や「再生」の意味です。

ちなみに、当時の考古学ではローマ建築よりギリシャ建築の方が古い建築様式であることは判明していなかったそうです。

左右対称で、整然とした見た目が特徴的です。円柱・アーチ・大きなドームなど、ローマ建築の要素が随所に取り入れられていますが、新しい技術も使われており、完全な再現だったわけではありません。

イタリアのフィレンツェにあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂や、ローマにあるサン・ピエトロ・イン・モントリオ教会のテンピエットが有名です。

 

(6)バロック建築:豪華で煌びやかな建築

 

 

建築様式の説明の前に、まずその背景となった宗教改革について触れます。

当時教会は免罪符を発行し販売しており、「お金を積めば救われる」という教えが広まっていました。マルティン・ルターなどがそれを批判し、16世紀に宗教改革が進みました。

それまで莫大な権力を誇っていた教会でしたが、どんどん力を失っていきます。

そんな状況に置かれた教会が、人々の心を引き留めるよう、あらん限り豪華な建築物を建てたのが、バロック建築です。

外装も内装も豪華絢爛です。ギリシャ建築のような柱や、ローマ建築を目指したルネサンス建築のような大きいドームも見られます。整然としたルネサンス建築と対照的に、うねりやねじれが目立つデザインです。

バチカンにあるサン・ピエトロ大聖堂やフランスのヴェルサイユ宮殿が有名です。

 

(7)新古典主義建築:ギリシャ建築の復興を目指した建築

 

 

考古学研究によってギリシャ建築がローマ建築より古いものであることが判明し、ギリシャ建築を復興しようとした18世紀の建築様式です。

ルネサンス建築はローマ建築の復興を目指したものでしたが、新古典主義の方が元のギリシャ建築に忠実です。

ドイツのベルリンにあるブランデンブルク門や、イギリスのロンドンにある大英博物館、スペインのマドリードにあるプラド美術館が有名です。

 

(8)ネオ・○○建築:それぞれの建築様式の復興を目指した建築

ネオ・ロマネスク建築

ネオ・ゴシック建築

ネオ・ルネサンス建築

ネオ・バロック建築

があります。新古典主義と同時期に、それぞれの建築様式を復興させようと生まれました。

建築の世界では昔からある様式を貴ぶ文化が強いようですね。

それぞれ「○○・リバイバル建築」と呼ばれることもあるようです。

 

まとめると、こんな感じです。

古典建築

(1)ギリシャ建築:美しい神殿を追求した建築

(2)ローマ建築:大衆施設を発展させた建築

中世建築

(3)ロマネスク建築:重厚感が特徴の建築

(4)ゴシック建築:軽さ・高さを追求した建築

近世建築

(5)ルネサンス建築:ローマ建築の復興を目指した建築

(6)バロック建築:豪華で煌びやかな建築

近代建築

(7)新古典主義建築:ギリシャ建築の復興を目指した建築

(8)ネオ・○○建築:それぞれの建築様式の復興を目指した建築

 

それぞれ、古典建築は数学的な美しい建築、中世建築はゲルマン民族が発展させた独自の建築、中世建築は大きな堂々とした造りの建築、近代建築は懐古的な流れの建築、と言えるでしょうか。

 

それでは、後半ではご紹介した建築様式を取り入れた、日本の建築をご紹介します。

 

 

〈勉強させて頂いたサイト〉

・モニカ通信「これで完璧!ゼロからわかる基礎知識、8つのヨーロッパの建築様式」

https://www.blog-monika.com/sightseeing/european-architect/(閲覧:2023/1/11)

主な建築様式の選択・歴史の流れ・建築様式の特徴を勉強しました。

 

・旅をする記「【完全保存版】ヨーロッパ建築(西洋建築)初心者は全員集合ヾ(≧▽≦)ノ」

https://ryo-yasukawa.com/european-architecture-summarize/(閲覧:2023/1/11)

歴史の流れ・建築様式の特徴について勉強しました。

 

・ヨーロッパ史入門「ヨーロッパ建築様式の種類~各様式の特徴や成立した順番は?~」

https://europa-japan.com/category15/entry104.html(閲覧:2023/1/11)

建築様式の細かい特徴について勉強しました。

 

・WOBURN ABBEY「ローマ帝国の分裂|中世ヨーロッパのはじまり」

https://wabbey.net/blogs/blog/romanempire(閲覧:2023/1/11)

ローマ帝国の歴史について勉強しました。

 

writer  C.Yamada

現在の閲覧数